新藤兼人監督が、能の演目「鉄輪」を元に怨とエロスを描く衝撃作。平安時代の物語と現代のドラマを交錯させる異色のストーリーが展開。丑の刻、嫉妬に燃える中年女が藁人形に呪いの五寸釘を打つ。その頃、中年女の夫とその愛人は性愛を交えていたが…。 古代--十一世紀。貴船神社の丑満時、嫉妬に燃える中年女が呪いの五寸釘をワラ人形にうちこむ。丑刻語りである。几帳の中で熱い抱擁を交わしている男女、中年の女の夫と愛人の若い女である。突然、女が身もだえしてのげそる。うちこむ五寸釘が呪いをかけてくるのである。現代--ベッドで悶える裸の男女。古代の男と若い女である。電話のベルが鳴る。受話器を取るが、相手の声は聞こえない。電話のベルと男の動作がくり返される。あるアパートの一室。向いあって坐っている中年の男と女。男は十五年連れ添った妻に離婚を宣言する。しかし、妻は「別れません」と無...
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